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2022年12月23日

 GEO600(GEO)は、ドイツ、ハノーファーの南約20kmにある、片腕の長さが600mの重力波検出用のレーザー干渉計です。マックス・プランク重力物理学研究所(アルバート・アインシュタイン研究所)によって運営されています。KAGRAはGEOと共に、2020年4月に国際共同観測を行いました。GEOはLIGOグループに属しており、GEOとKAGRAの共同観測もLIGO-Virgo-KAGRA(LVK)の協定に基づく観測運転として正式に了承されたものです。LIGOとVirgoは2019年4月より2020年4月末までの予定で第3回観測運転(O3)を行なっていました。KAGRAはそれに参加すべく感度向上作業を行い、2020年3月末にLIGOとVirgoのO3観測への参加条件とされた、連星中性子星合体の平均観測可能距離である1Mpcを達成しました。しかしながら、ほぼ同時にLIGOとVirgoの観測運転がコロナ禍のために中断されました。そのためLVKの同時観測はO3では実現できませんでしたが、コロナ禍でも連続運転を行なっていたGEOと共同観測を行うこととなったという経緯でした。LVK観測として行われたため、観測データはLVKで共有され、データ解析もLVKコラボレーションとして共同で行われました。また、この観測は略称としてO3GKと名づけられました。この共同観測結果の論文がこの度、Progress of Theoretical and Experimental Physics (PTEP) に掲載されました。

 O3GK観測運転は2020年4月7日8:00(UTC)から4月21日0:00(UTC)まで行われました。観測中の連星中性子星合体の平均的観測可能距離はKAGRAが0.66Mpc(中央値), GEOが1.06Mpc(中央値)でした。合計観測時間はKAGRAが7.29日、GEOが10.9日、観測期間中の稼働率はKAGRA が53.3%、GEOが79.8%でした。

 重力波信号探索解析としては、4種類の解析が行われました。1つ目は連星中性子星合体信号探索で、時刻や方向を指定せずに全天から到来する連星中性子星合体重力波信号が探索されました。2つ目の解析は、全天バースト重力波探索と呼ばれ、詳細な波形モデルは指定せずに、信号の強度のみを指標にして信号を検出する手法が用いられました。これらの解析では統計的に有意な重力波信号は見つかりませんでした。

 3つ目の解析はO3GK観測中にガンマ線によって観測されたショートガンマ線バーストに付随した連星合体重力波信号の探索で、4つ目はショートガンマ線バーストとロングガンマ線バーストに付随した重力波を詳細な波形を仮定せずに探索する解析です。表1にO3GKで探索が行われたガンマ線バースト4つを示しています。このうち2つはショートガンマ線バーストで、2つはロングガンマ線バーストです。これ以外にもO3GK期間中にはガンマ線バーストは観測されましたが、それらは、発生時刻にGEOとKAGRAのどちらか、あるいは両方が観測モードになっておらずデータが利用できないなどの理由により解析対象にはなっていません。2つのショートガンマ線バーストに対しては、ガンマ線バーストの発生時刻と到来方向領域からの連星合体重力波信号の探索が行われました。

ガンマ線バースト名ガンマ線バーストのタイプ
GRB200412Aロング
GRB200415Aショート
GRB200418Aロング
GRB200420Aショート
表:解析されたガンマ線バースト

 また、4つ全てのガンマ線バーストに対して、波形モデルを仮定せずに信号の強度のみを指標とした探索が行われました。以上のデータ解析の結果、統計的に有意と言える重力波信号は検出されませんでした。

 以上のガンマ線バーストのうち、GRB200415Aはガンマ線観測で決められた到来方向が距離3.5Mpcの近傍銀河NGC253と一致しており、この銀河内で発生した可能性が高いと考えられます。発生源が近傍であるため、GRB200415Aに付随した重力波を観測あるいは制限することは天体物理的に非常に重要です。しかしながら、このO3GK観測でのGEOとKAGRAの感度ではその距離までの観測は難しく、このガンマ線バーストの起源については何も言えないという結論となりました。

 以上の全ての解析で、天体物理的に有意な結果を導くことはできませんでしたが、これはO3GKでの両検出器の感度が足りなかったことに起因します。現在LVKコラボレーションで主力として用いられているソフトウエアを用いて行われたデータ解析が全て問題なく行うことができたことは、今後KAGRAの検出器感度が向上しさえすれば、KAGRAデータが重力波天文学にすぐに貢献できることを示しています。

参考文献
LIGO Scientific Collaboration, Virgo Collaboration
KAGRA Collaboration First joint observation by the underground gravitational-wave detector, KAGRA with GEO600
Progress of Theoretical and Experimental Physics, 2022, 063F01(2022)

KAGRAのイメージ図
GEO600 © H. Lück (Albert Einstein Institute Hannover)

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2022年8月1日

KAGRAが学認のIdP of the Year 2021を受賞しました。
詳細はこちらをご覧下さい。
https://www.icrr.u-tokyo.ac.jp/news/12215/

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2022年6月15日

 [2022年6月15日更新;次回更新は2022年9月15日までの予定]

 LIGO,Virgo,KAGRAは,O4観測運転を共に開始するために密接に連携しています。

 O4準備のスケジュールに関する最新の評価の結果、O4観測は2023年3月に開始し、観測開始の1ヶ月前には試験運転を開始する予定です。試験運転中に発見される候補イベントに対する低遅延アラートについては,低遅延システムのテストとイベントの科学的価値を保つために発信される可能性があります。

 観測運転はLIGO Hanford、LIGO Livingston、Virgo、KAGRAによって開始される予定です。検出器の改良と感度向上作業が進む一方で、開始に向けた計画は常に見直されています。O4開始時期の更新は、検出器の改良と感度向上作業のスケジュールの見直しが原因です。 O5の計画はまだ策定中ですが、これまでの観測の経験から、O5では観測時の問題点を解決し改良を行うために、数ヶ月間の観測中断が1回あるいは数回必要であると予想しています。

 検出器の予測感度に変更はありません。LIGOは連星中性子星に対して160-190 Mpcの感度目標を立てています。Virgoは80-115 Mpcを目標にしています。KAGRAはO4の初めに1 Mpc以上の感度で運転を行い、O4の終わりまでに感度を向上させる作業を行う予定です。

観測スケジュール

重力波観測のスケジュールは、約1年間運転する観測運転、装置の構築とコミッショニングのための観測休止期間、コミッショニングと観測運転を繋ぐ試験運転に分けられます。現在見込まれている長期的な観測スケジュールは以下の通りです。この図は各観測運転期間での連星中性子星合体からの重力波の観測可能距離を示しています。

O4では、4つの施設(LIGO Hanford (LHO)とLIGO Livingston (LLO)、KAGRA、Virgo)が、中間に1ヶ月の休止を含めた一年間の観測を予定しています。KAGRAはVirgoとLIGOともに観測を開始し、コミッショニングのために一旦観測を休止し、O4観測の終盤により感度を上げて観測を再開する予定です。

O5の開始日、期間、感度は、現時点での予定であり、観測開始までに変更となる可能性があります。

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2022年5月15日

[2022年5月15日更新;次回更新は2022年7月15日までの予定]

LIGO,Virgo,KAGRAは,O4観測運転を同時に開始するため密接に連携しています。2022年12月中旬にO4観測運転を開始する予定で、11月中旬には試験運転を開始する予定です。試験運転中に発見される候補イベントに対する低遅延アラートについては,低遅延システムのテストとイベントの科学的価値を保つために発信される可能性があります。

現時点では、LIGO Hanford、Virgo、KAGRAで観測を開始する予定です。各検出器のコミッショニングが進む一方で、観測準備に向けた計画が見直されています。LIGO Livingstonはアップグレード作業が予定より時間がかかっているため、2023年2月には観測に参加できる見込みになっています。現在遅れを取り戻すための対応が検討されています。

検出器の予測感度に変更はありません。LIGOは連星中性子星に対して160-190 Mpcの感度目標を立てています。Virgoは80-115 Mpcの感度を目標にしています。KAGRAはO4の初めから参加することが決まっています。そこでは1 Mpc以上の感度で運転を行い、O4の終わりまでに感度を向上させて観測を再開する予定です。

観測スケジュール

重力波観測のスケジュールは、約1年間運転する観測運転、装置の構築とコミッショニングのための観測休止期間、コミッショニングと観測運転を繋ぐ試験運転に分けられます。現在見込まれている長期的な観測スケジュールは以下の通りです。この図は各観測運転期間での連星中性子星合体からの重力波の観測可能距離を示しています。

O4では、4つの施設(LIGO Hanford (LHO)とLIGO Livingston (LLO)、KAGRA、Virgo)が、中間に1ヶ月の休止を含めた一年間の観測を予定しています。KAGRA はVirgoとLIGOともに観測を開始し、コミッショニングのために一旦観測を休止し、O4観測の終盤により感度を上げて観測を再開する予定です。

O5観測の開始日、期間、感度は、現時点での予定であり、観測開始までに変更となる可能性があります。

本件に関する問い合わせは,各コラボレーションの代表までお願いします。

  • Patrick Brady (Spokesperson, LIGO Scientific Collaboration)
        lsc-spokesperson_AT_ligo/org
  • Giovanni Losurdo (Spokesperson, Virgo Collaboration)
        virgo-spokesperson_AT_ego-gw/it
  • Jun’ichi Yokoyama (Board Chair, KAGRA Scientific Congress)
        kscboard-chair_AT_icrr/u-tokyo/ac/jp

(”_AT_” は “@” に変更して、そのあとの “/” は “.” に変更してください)

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2022年3月15日

[2022年3月15日更新;次回更新は2022年5月15日までの予定]

LIGO,Virgo,KAGRAは,O4観測運転を共に開始するために密接に連携しています.2022年12月中旬にO4観測運転を開始する予定ですが,現在でもパンデミックによる遅延を取り戻すための作業を続けています.11月中旬には試験運転を開始する予定です.試験運転中に発見される候補イベントに対する低遅延アラートについては,低遅延システムのテストとイベントの科学的価値を保つために発信される可能性があります.4月下旬にウェビナーを開催し,各検出器における作業状況と残されている課題について説明する予定です.

LIGOは連星中性子星に対して160-190 Mpcの感度目標を立てています.Virgoは80-115Mpcの感度を目標にしています.KAGRAはO4の初めに1Mpc以上の感度で運転を行い,O4の終わりまでに感度を向上させるための作業を行う予定です.

本件に関する問い合わせは,各コラボレーションの代表までお願いします。

  • Patrick Brady (Spokesperson, LIGO Scientific Collaboration)
        lsc-spokesperson_AT_ligo/org
  • Giovanni Losurdo (Spokesperson, Virgo Collaboration)
        virgo-spokesperson_AT_ego-gw/it
  • Jun’ichi Yokoyama (Board Chair, KAGRA Scientific Congress)
        kscboard-chair_AT_icrr/u-tokyo/ac/jp

(”_AT_” は “@” に変更して、そのあとの “/” は “.” に変更してください.)

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2022年2月4日

「トンガ噴火(2022年1月15日)によるKAGRAの環境データ」 公開しました。

詳細は こちら をご覧ください。

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2021年12月9日

 2021年11月20日(土)にスーパーカミオカンデ・KAGRAオンライン一般公開を開催しました。新型コロナウイルス感染症拡大予防のため、昨年に続きオンラインでの一般公開となり、飛騨市ひだ宇宙科学館カミオカラボとスーパーカミオカンデと協力して実施しました。8つのプログラムでのべ771名の方にご視聴いただきました。その中でKAGRA地下実験施設ライブツアーについてはライブ配信中最大112名の方にご視聴頂きました。

 「視聴者参加型企画 スマホで宇宙線withカミオカラボ」では、目に見えない宇宙から降り注ぐ粒子「宇宙線」を神岡町公民館に検出器を置いて測定し、スマホのアプリを通じて視聴者と一緒に検出数をカウントし、宇宙線の性質やスーパーカミオカンデがなぜ地下で実験をしているか、などを考察しました。池田一得助教(写真左)とサイエンスコミュニケーターの高知尾理さん(写真右)が、カミオカラボからの施設紹介の中継を交えながら楽しく伝えました。視聴者の方がチャットで報告してくれた観測数をグラフにして、見事に観測数が場所ごとに変わる現象が確認できました。

 「若手研究者・学生座談会」では、近くにいながら普段なかなか接点のない、KAGRAとスーパーカミオカンデの学生さんの日常生活をスーパーカミオカンデの中野佑樹特任助教(写真左上)をファシリテーターとして語り合ってもらいました。視聴者の方にもZOOMで参加いただき、「神岡生活で欲しいものは?」「普段の生活で出てしまう研究の習慣は?」「英語はどうやって勉強しますか?」などの質問に楽しく答え和やかな会になりました。

 「KAGRA地下実験施設ライブツアー」では、重力波観測研究施設長の大橋正健教授が施設内をご案内しました。KAGRA実験の肝となるレーザー干渉計の仕組みについて模型などを用いて説明しました。

 「スーパーカミオカンデ地下実験施設ライブツアー」では、スーパーカミオカンデ実験代表者の中畑雅行教授が施設内をご案内しました。YouTubeチャットでいただいた、たくさんの質問に答えながら検出器の構造やニュートリノ検出の方法などを説明しました。

 「もっと知りたい!研究者のお仕事」では、スーパーカミオカンデ、ハイパーカミオカンデ、KAGRAの最前線で活躍する研究者達が、日常どんな目標を持ち、どんな作業をしているかなどをお話し、質問にも答えていきました。

もっと知りたい!研究者のお仕事〜KAGRA〜

 横澤特任助教と譲原特任研究員がクイズも交えて、KAGRAの制御室から普段どんな研究をしているのかなどをお話しました。

もっと知りたい!研究者のお仕事〜スーパーカミオカンデ〜

 スーパーカミオカンデで水の調整グループで活躍する家城佳助教。一見物理とは関係ないと思われる水をきれいにする作業が、陽子崩壊探索やニュートリノ研究にとても重要だと語りました。

もっと知りたい!研究者のお仕事〜ハイパーカミオカンデ〜

 現在、ハイパーカミオカンデ検出器空洞へとつながるトンネル掘削を進める、田中秀和助教が検討を進めながら実験開始を目指している様子を語ってくれました。

 最後のQ&Aコーナーでは、スーパーカミオカンデの中畑教授(左)、KAGRAの宮川准教授(右)が視聴者の皆さんからの質問に答えました。

 いずれのプラグラムもたくさんの視聴者にチャット等でご参加いただき、ライブならではの双方向のやり取りが生まれました。今後とも皆様と繋がることのできるイベントを開催していきたいと思います。

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2021年11月15日

[最終更新: 2021年11月9日 (次回更新予定: 2022年3月15日)]

LIGO、Virgo、KAGRAは,O4観測をともに開始するため緊密に調整を行っています。各地域および全世界的な逆境の中ではありますが,2022年12月中旬にO4観測を開始する予定です。

LIGOは,最終的な目標感度として,連星中性子星に対して160〜190Mpcを想定しています。Virgoは,80〜115Mpcの目標感度を想定しています。KAGRAは、O4の開始時に1Mpcを超える感度で稼働することが見込まれており,O4終盤に向けて感度の向上に取り組みます。

本件に関する問い合わせは,各コラボレーションの代表までお願いします。

  • Patrick Brady (Spokesperson, LIGO Scientific Collaboration)
        lsc-spokesperson_AT_ligo/org
  • Giovanni Losurdo (Spokesperson, Virgo Collaboration)
        virgo-spokesperson_AT_ego-gw/it
  • Jun’ichi Yokoyama (Board Chair, KAGRA Scientific Congress)
        kscboard-chair_AT_icrr/u-tokyo/ac/jp

(”_AT_” は “@” に変更して、そのあとの “/” は “.” に変更してください。)

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2021年11月8日

LIGO-Virgo-KAGRAの国際重力波ネットワークは,11月7日,2020年3月に終了した第3期観測期間(O3)の解析結果を,GWTC-3(突発的重力波カタログ第3版)として論文として発表するとともに,観測期間のデータを公開しました.GWTC-3には,O3後半に発見された35のイベントが加わり,2015年9月に重力波の初観測に成功して以来,全部で90の重力波イベントが特定されました。

LIGO-Virgo-KAGRAでは,このカタログを用いた,相対性理論の検証に関する論文,KAGRAとGEO600が2020年4月に行った観測に関する論文などを発表する準備を進めています。

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2021年11月3日

ハードウェア障害の兆候が見られたため,予防措置として緊急メンテナンスを実施しました。
ご迷惑をおかけしたことをお詫びいたします。現在は復旧しています。
(ダウン時間: 11月3日(水) 10:00〜15:00)

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2021年10月21日

東京大学宇宙線研究所のホームページに「オンライン記事並びに週刊誌の報道について」を掲載しました。
https://www.icrr.u-tokyo.ac.jp/news/10902/

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2021年9月15日

[最終更新: 2021年9月15日(次回更新: 2021年11月15日)]

LIGO-Virgo-KAGRAコラボレーションは、O4観測実施の準備について、COVID-19とハリケーンの影響を調査しているところです。その結果、O4は2022年8月より前に開始されないことを改めて確認し,さらに遅れる可能性があることをお知らせします。次回の更新時(2021年11月15日まで)に、より具体的なスケジュールを公表します。

COVID-19とハリケーン・アイダがルイジアナに与えた被害により「周波数依存スクイーズイングシステム (the Frequency Dependent Squeezing system)」の作業が遅れています。LIGO-HanfordとLIGO-Livingstonの検出器の準備状況は依然として不透明です。ハリケーン・アイダは、LIGO-Livingston観測所のスタッフとその家族にも影響を与えました。影響の全容はまだわかっておらず、影響の緩和策を模索しています。

Virgoは、O4のアップグレードの構築を完了し、現在、コミッショニング中です。
Virgo検出器の準備が不透明になる可能性があるとすれば,主にコミッショニングの進捗状況によるものです。

KAGRAは、VirgoおよびLIGOと共にO4へ参加するべく作業中です。
COVID-19の影響と神岡サイトの人手不足により、O4への参加開始可能になるのは2022年8月より遅くなると見込まれています。

本件に関する問い合わせは,各コラボレーションの代表までお願いします。

● Patrick Brady (Spokesperson, LIGO Scientific Collaboration); lsc-spokesperson_AT_ligo/org
● Giovanni Losurdo (Spokesperson, Virgo Collaboration); virgo-spokesperson_AT_ego-gw/it
● Jun’ichi Yokoyama (Board Chair, KAGRA Scientific Congress); kscboard-chair_AT_icrr/u-tokyo/ac/jp
  (”_AT_” は “@” に変更して、そのあとの “/” は “.” に変更してください。)

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2021年8月5日

NHK575でカガク「重力波」、緊急事態宣言による収録延期により、俳句の募集期間が8月29日(日)まで延長されました。

詳細は こちら を参照してください。

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2021年8月5日

2021年度の「KAGRA一般公開」につきまして、現地開催は中止とし、2021年11月20日(土)にスーパーカミオカンデ、ひだ宇宙科学館カミオカラボと合同にて、オンラインでの開催を予定しています。 (さらに…)

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2021年7月15日

[2021月7月15日更新,次回の更新は,2021年9月15日までに行います]

LIGO-Virgo-KAGRAのコラボレーションでは、次期観測O4(Observation 4)に備えて、各検出器の改良を進めています(Virgoでは新たな機器の入れ替えを完了しました)。しかしながら,主要な調達の遅れと新型コロナ感染症関連の遅れの両方のために、O4観測の開始日を確定することができません。現時点では,2022年8月までに開始することは無理であるとの合意です。2021年9月15日までにはより詳細な予定を案内いたします。

本件に関する問い合わせは,各コラボレーションの代表までお願いします。
● Patrick Brady (Spokesperson, LIGO Scientific Collaboration);
          lsc-spokesperson_AT_ligo/org
● Giovanni Losurdo (Spokesperson, Virgo Collaboration);
          virgo-spokesperson_AT_ego-gw/it
● 真貝寿明 (Board Chair, KAGRA Scientific Congress);
          kscboard-chair_AT_icrr/u-tokyo/ac/jp
(”_AT_” は “@” に変更して、そのあとの “/” は “.” に変更してください。)

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2021年6月29日

アドバンストLIGO(ライゴ)とアドバンストVirgo(ヴィルゴ)が,中性子星とブラックホールの連星からの重力波を観測しました。
(引用元: https://www.ligo.org/science/Publication-NSBHDiscovery/

2020年1月5日,米国ルイジアナ州リビングストンにあるアドバンストLIGOとイタリアにあるアドバンストVirgoの2台の重力波検出器は,中性子星とブラックホールの連星からの重力波を観測しました。渦巻を描いて中性子星とブラックホールが接近するインスパイラル軌道の最後の数回転とその後に中性子星とブラックホールが合体する現場を観測したのです。さらに,そのわずか10日後の1月15日に,米国ワシントン州ハンフォードにあるもう1台のアドバンストLIGOを含めた3台の検出器が2番目の中性子星とブラックホールのインスパイラル軌道と合体からの重力波を観測しました。これらの新しいイベントは,GW200105とGW200115と呼ばれます。中性子星とブラックホールの組み合わせからの重力波が観測されたのはこれが初めてです。


重力波観測と電磁波観測で測定された中性子星とブラックホールの質量
(Image credit: LIGO-Virgo & Frank Elavsky, Aaron Geller, Northwestern University)
(詳細は,リーフレット参照)


GW200105とGW200115を放出した天体の,ブラックホール(横軸)と
中性子星(縦軸)の質量の推定 (詳細は,リーフレット参照)

詳しくは,リーフレット「新しい重力波源:中性子星とブラックホールの連星」 をご覧ください。
(英語版はこちら

論文の全文(英語)は,こちら(無料のプレプリント)で読むことができます。

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2021年6月25日


「KAGRAの現状」

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2021年6月17日

NHK「575でカガク!」 で,2021年度の俳句を募集中です。「重力波」(7月11日まで)

詳細は こちら を参照してください。

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2021年1月5日

2021年1月4日、井上信治 内閣府特命担当大臣(科学技術政策)が岐阜県飛騨市神岡町を訪問、スーパーカミオカンデとKAGRA、ひだ宇宙科学館カミオカラボを視察されました。

視察に先立ち、東京大学宇宙線研究所 神岡宇宙素粒子研究施設において概要説明を行い、スーパーカミオカンデ、ハイパーカミオカンデの説明に続いて大橋正健 重力波観測研究施設長がKAGRAの研究概要、地域とのつながりや、これからの研究の進展などについて説明しました。また都竹淳也 飛騨市長による飛騨市と東京大学との協力関係についての説明がありました。

KAGRAの地下実験施設では、梶田隆章 宇宙線研究所長と大橋施設長の案内で、アップグレード作業のため真空容器から取り出されているサファイア鏡や、トンネル内の3kmの長さの真空ダクトなどを前に、KAGRAのレーザー干渉計の仕組みやトンネル、実験装置の建設などについての説明を行いました。

視察の最後には、大臣から、「宇宙の神秘の解明を!!」とのメッセージを色紙にいただきました。

神岡宇宙素粒子研究施設で概要説明を行う様子

KAGRAの中央実験室で重力波望遠鏡についての説明の様子

KAGRAのアームトンネル内で真空ダクトについて説明を聞く井上大臣

色紙にメッセージをいただきました

関連記事

東京大学宇宙線研究所ホームページのトピックス

神岡宇宙素粒子研究施設のトピックス

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2020年12月9日

2020年12月9日

LIGO-Virgo-KAGRAの次期観測開始日について

LIGO-Virgo-KAGRAのコラボレーションでは、次期観測O4(Observation 4)に備えて、検出器の改善とA+/AdV+の変更の準備状況を確認しました。2020年11月の時点で、主要な調達の遅れと新型コロナ感染症関連の遅れの両方のために、O4観測の開始は2022年6月以降となる見込みです。今後6か月の間に検出器システムに多くの重要な変更を加えることで、新型コロナ感染症によるスケジュールへの影響が明らかになります。これらの検討を含めて、2021年春に、O4開始日を発表します。

LIGO-Virgo-KAGRA management group
Brady, Losurdo,真貝,Reitze,Lazzarini,Katsanevas,梶田,大橋

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2020年10月29日

東京大学宇宙線研究所と東京都市大学が10月27日、KAGRAにおける教育及び研究協力などを柱とする学術連携に関する協定に調印しました。
(さらに…)

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2020年4月7日

富山大学と東京大学宇宙線研究所は2020年4月6日、大型低温重力波望遠鏡(KAGRA)の本格運転及び観測が始まるにあたり、共同研究でもたらされるサイエンスと教育的効果の重要性を認識し,緊密な連携を行うため,新たな覚書を締結しました。富山大学ではこれまでも、大学院理工学教育部、理学部、工学部および大学院理工学研究部が、宇宙線研究所と「重力波研究推進のための教育・研究協力に関する覚書(平成27年2月9日締結)」を結んで活動してきましたが、新たな覚書はこれを富山大学の全学的な連携へと発展的に拡大させるものです。

締結式は同日、富山大学において宇宙線研究所・梶田隆章所長、富山大学・齋藤滋学長が出席して行われました。覚書に基づき、東京大学宇宙線研究所は今後、KAGRA ホスト機関及びKAGRA 共同利用研究者の代表として、富山大学に対し、重力波に関連した教育上及び研究・開発上の支援を行い、富山大学はKAGRA の地域の研究拠点として,東京大学宇宙線研究所及びKAGRA 共同利用研究者に対し、共同研究・開発を行うため重力波研究実験室の利用等研究・開発環境の支援を行うことになります。

富山大学で行われた締結式で、覚書に署名する梶田所長(左)と齋藤学長(右)

宇宙線研究所のニュースへ

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2020年2月25日

2020年2月25日 東京大学宇宙線研究所 重力波観測研究施設

大型低温重力波望遠鏡KAGRA(かぐら)が観測を開始しました。

KAGRAは、東京大学宇宙線研究所、高エネルギー加速器研究機構、自然科学研究機構国立天文台を共同ホスト機関とした協力体制のもと、国内外の研究機関・大学の研究者と共同で岐阜県飛騨市に建設されました。昨年秋の完成後、感度を高めるための調整、試験運転が続けられていましたが、本日2020年2月25日、重力波観測のための連続運転が開始されました。

KAGRAの研究代表者、宇宙線研究所長の梶田隆章教授は「2010年のKAGRAプロジェクト開始後から研究チーム一丸となった準備をしてきましたが、ようやく重力波観測を始めることができました。このプロジェクトを支援していただいた多くの方々のおかげであり、あらためてこれまでのご支援に感謝いたします。感度はまだまだですが、引き続き感度向上の努力を続けてまいります。」と述べています。

2020年2月25日17時0分、KAGRAの観測開始を喜ぶ共同研究者。

KAGRA中央実験室内アーム交差部

KAGRAのアームトンネル

リンク

東京大学宇宙線研究所のニュース記事へ

国立天文台のニュース記事へ

高エネルギー加速器研究機構(KEK)のニュース記事へ

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2019年12月5日

国内のステンレス関連企業が加盟するステンレス協会がステンレスの新規用途開発の促進に貢献した製品を表彰する「ステンレス協会賞」の受賞製品が発表されました。最優秀賞1製品に続く優秀賞9製品のひとつに約800トンのステンレスを用いている重力波望遠鏡KAGRAのレーザー干渉計設備機器が選ばれ、12月4日、東京都中央区の鉄鋼会館で表彰されました。

ステンレス協会賞のWebページへ

KAGRAを代表してステンレス協会長(右)から表彰状を受け取るKAGRAプロジェクトマネージャーの齊藤芳男特任教授(左)

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2019年10月29日

大型低温重力波望遠鏡KAGRAの2010年の建設開始から2019年の完成までを記録した紹介ビデオができました。上の画像から、または以下のURL、QRコードからお楽しみください。

https://youtu.be/iJa_Ym1n8CQ

「重力波望遠鏡 KAGRA」10分40秒、2019年10月公開、企画:東京大学宇宙線研究所、制作:岩波映像株式会社

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2019年10月24日

10月14日から17日にかけて東京大学本郷キャンパスで行われた重力波物理学・天文学のワークショップGWPAW2019において、東京大学宇宙線研究所 重力波観測研究施設の譲原浩貴特任研究員がポスター賞を受賞しました。

受賞したポスターのタイトルは “A nonparametric method to assess significance in search for compact binary coalescences with false discovery rate” です。

譲原さん、おめでとうございます!

GWPAW2019 ホームページ

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2019年10月4日

東京大学宇宙線研究所が国立天文台、高エネルギー加速器研究機構(KEK)と協力して建設を進めてきた大型低温重力波望遠鏡KAGRAにおいて10月4日、完成記念式典を開催しました。また富山市内のホテルに会場を移して米国のLIGO、欧州のVirgoとKAGRAの研究協定(MOA)調印式を行いました。詳細は宇宙線研究所のニュース記事をご覧ください。


KAGRA完成記念式典でKAGRA運転開始ボタンを押す宮園浩平・東京大学副学長(左)と梶田隆章・宇宙線研究所長


研究協定調印式で握手をするJo van den Brand・Virgoプロジェクト代表(中央左)、梶田隆章 宇宙線研究所長・KAGRAプロジェクト代表、David H. Reitze・LIGOプロジェクト代表(中央右)とそれを見守るChristian Olivetto・欧州重力研究所(EGO)副所長(左端)、真貝寿明・KAGRA Scientific Congress議長(右から2番目)、大橋正健 重力波観測研究施設長・KAGRAプロジェクト副代表(右端)

 

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2019年9月24日

KAGRA実験グループの大学院生(博士2年)、山田智宏さんがこのほど、富山市で開催された第16回宇宙素粒子・地下物理国際会議(TAUP2019)で最優秀ポスター賞の一人に選ばれました。おめでとうございます!
宇宙線研究所Webの記事へ
TAUP国際会議のアナウンスページへ

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2019年8月21日

東京大学大学院理学系研究科物理学専攻の榎本雄太郎君が、日本物理学会2019年春の年次大会で学生優秀発表賞を受賞しました。おめでとうございます。

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2019年6月1日

2019年5月29日、台湾の台中市立台中第一高級中等学校の高校1、2年生約120名が海外研修の一環として東京大学柏キャンパスを訪問、KAGRAメンバーの講義を聴講しました。

Hsieh Bin-Huaさんの講義に聞き入る台中第一高級中学校の生徒ら

29日朝、大型バス三台に分乗して到着した高校生らは、台中第一高級中学校出身で、KAGRAで研究を行う宇宙線研究所の大学院生Hsieh Bin-Huaさんの案内で宇宙線研究所やKavli IPMUなどの建物を見学した後、東京大学柏図書館メディアホールで講義を聴講しました。

講義では、まずHsiehさんが東京大学での学生生活について母国語で話し、続いて牛場崇文助教が大型低温重力波望遠鏡KAGRAを用いた重力波の観測について実験的な側面から解説、最後に田越秀行教授がブラックホールや重力波について理論的な側面から講義を行いました。質問の時間には、「45度の方向から重力波がくると検出できないのではないですか?」など、講師も驚くような高度な質問も飛び出し、活発な議論が繰り広げられました。

生徒たちは、日本の高校生らと交流したり、富士山麓で日本の美しい景色を鑑賞するなどその後の旅程のため、柏キャンパスを後にしました。

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2019年5月13日

韓国のサムヤングループは、KAGRAの共同研究者である、ソウル国立大学物理・天文学部のHung Mok Lee教授をはじめとする第28回スダン賞の受賞者3名を発表しました。授賞式は5月9日、ソウル・ソゴンドンのロッテホテルで行われ、受賞者にはそれぞれ盾と1億ウォンの賞金が贈られました。

サムヤングループのHPによると、スダン賞は基礎科学、応用科学、人文および社会学それぞれで顕著な貢献をした研究者に贈られるとされます。Lee教授は、韓国重力波研究グループを率いて米国LIGOの観測・解析に参加し、2015年の人類初となる重力波の検出に貢献するなど、天文学の多くの分野で顕著な研究業績を挙げたことが、今回の受賞につながったとされます。

関連リンク

韓国ファイナンシャルニュース(韓国語)

http://www.fnnews.com/news/201905091007320874

http://www.fnnews.com/news/201904101349208742

サムヤングループ、スダン基金およびスダン賞の解説(英語)

http://www.samyang.com/eng/Contribute/sudanggroup

 

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2018年11月18日

2018年11月18日
東京大学宇宙線研究所 重力波観測研究施設

11月17日(土)に開催された大型低温重力波望遠鏡KAGRAの一般向け見学会につきまして、一部報道で「最後の見学会」などの表現が見られますが、2019年秋の本格観測前の見学会としては今回が最後ですが、その後も観測機器のアップグレード作業の際など、見学の機会を設けることを検討しています。全く見学ができなくなるわけではないことをお知らせいたします。

見学会当日、メディア関係者へ配布した資料

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2018年11月9日

ドイツ・マックスプランク重力物理学研究所のディレクターで京都大学基礎物理学研究所の教授も務める柴田 大(しばた まさる)氏が2018年度の仁科記念賞を受賞することが決定されました。業績題目は「数値相対論による連星中性子星合体の研究」“Study of binary neutron star mergers by numerical relativity simulations” です。

柴田教授は大型低温重力波望遠鏡KAGRAの共同研究者でもあります。柴田教授、おめでとうございます。

本年度の第64回仁科記念賞は柴田教授と京都大学大学院理学研究科の田中耕一郎教授が受賞します。授賞式は12月6日におこなわれます。

仁科記念財団のHPのアナウンスへリンク

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2018年9月20日

KAGRAの共同研究者で、東邦大学理学部准教授の関口雄一郎氏が第12回湯川財団・木村利栄理論物理学賞を受賞することが決定しました。授賞研究課題は、「連星中性子星の合体に対する現実的な素過程を組み込んだ数値相対論シミュレーション」です。

関口さん、おめでとうございます!

湯川財団・木村利栄理論物理学賞のHP

東邦大学 関口雄一郎准教授の教員紹介

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2018年8月21日

2018/8/21 東京大学宇宙線研究所

東京大学宇宙線研究所を中心として、国立天文台、高エネルギー加速器研究機構などが共同で推進し、岐阜県飛騨市の地下に建設中の重力波望遠鏡KAGRA(かぐら)の最重要構成要素のひとつ、サファイア鏡(ミラー)4基すべてが完成しました。日本国内製サファイア単結晶で製作した2基のうち、最後の1基を東京大学柏キャンパスの宇宙線研究所で報道陣に公開しました。


4基全て完成したKAGRAのサファイア鏡の1基

重力波について

重力波とは、ブラックホール連星や中性子連星が合体するときなどに発生する「時空のひずみ」が波として宇宙空間をつたわるもので、1916年にアルバート・アインシュタインが一般相対性理論からその存在を予言しました。それから約100年経った2015年、アメリカにあるLIGOの2台の重力波望遠鏡が13億光年離れたところにあるふたつのブラックホールが合体した時に発生した重力波を世界で初めて直接観測し、その存在が証明されました。その後、いくつかの重力波観測に成功し、ヨーロッパのVirgo観測所も加わり、重力波で宇宙を観測する重力波天文学が幕を開けました。日本のKAGRAもこのネットワークに加わることでより正確な重力波観測をおこなうことが期待されており、現在急ピッチで観測に向けた準備がすすんでいます。

重力波望遠鏡

重力波望遠鏡は、重力波による時空のひずみを観測する装置で、望遠鏡の腕の長さ3kmに対して10のマイナス19乗メートルという、水素原子の大きさ(約10のマイナス10乗メートル)と比べて9桁ほど小さなひずみの観測をおこないます。そのためにレーザー光をビームスプリッターという鏡でL字の2本の腕の方向に分け、それぞれの先端に配置した鏡で反射させて戻ってきた光のわずかな位相差(到達時間の違い)を測定するいわゆるマイケルソン干渉計で重力波を観測します。

なぜサファイアの鏡を使うのか

この時、鏡の分子の熱運動も観測のノイズになるので、KAGRAでは鏡を冷却し分子運動によるノイズを小さくします。そこで、冷やすことでうまく熱運動を抑えることができ、熱伝導もよい(つまり冷やしやすい)サファイアの単結晶を鏡の材質として選びました。KAGRAの観測時、サファイアの熱がもっとも伝わりやすい20ケルビン(およそマイナス253℃)で運転します。
この鏡を冷却するという技術は現在常温で運転しているLIGOなどでも将来の感度向上のために導入が検討されている技術のひとつで、日本のKAGRAはその先進的なアイデアをいち早く取り入れているといえます。

サファイア鏡について

今回完成したKAGRA用のサファイア鏡は直径22㎝、厚さ15㎝、重さ23㎏で、高性能サファイアミラーとしては世界最大です。L字型に伸びる2本の長さ3㎞の腕それぞれの先端と根元でレーザー光を何百回も折り返す「光共振器」として使うため、サファイア鏡は合計4基必要で、今回で全ての鏡がそろうことになります。

光共振器を用いて感度をあげる

重力波による空間のひずみは腕の長さに比例します。つまり、できるだけ長い距離をつかって測定すると小さなひずみまで検出できるようになります。そのために世界の重力波望遠鏡は3~4kmという長い腕を持つのですが、10のマイナス19乗メートルという小さなひずみの検出のためには1往復では足りないため、それぞれの腕の先端と根元に鏡を向かい合わせに置き、合わせ鏡の要領でレーザー光を何百回も往復させて(KAGRAの場合約1000回)実効的な距離を稼ぎます。この仕組みを光共振器と呼びます。
感度を高めるには共振器の中に光を効率よくため込む必要があります。KAGRAの場合、光が共振器の中を一往復する間に失うレーザーパワーを100ppm(1/10000)以内に抑えることを目標としています。ところが、往復する間に光が共振器の外に漏れたり鏡に吸収されたりするのでこれは簡単ではありません。例えば、レーザー光が真空ダクト内を伝搬する間に径が広がるのを防ぐため、鏡の表面をわずかに凹面にして光を集めるようにしています。また、凹面部分が完全な球面ではなくわずかでも誤差があると共振器の外に光が逃げて行ってしまうため、鏡を研磨するときに極力この誤差を小さくし、かつ反射膜コーティングの膜厚が一様になるような非常に厳しい要求値で製作しています。KAGRAで用いるサファイアで鏡を作る場合、この厳しい要求値を大きなサイズで実現できるかどうかは前例がなくやってみるまでわかりませんでした。


サファイア鏡の設置場所。エンドミラーは□で示した低温容器内に、
インプットミラーは○で示した低温容器内に設置する。

国内結晶メーカーと共同で新たな課題を克服

KAGRAの4基のサファイア鏡のうち、腕の先端に設置したはじめの2基の鏡(エンドミラー)はレーザー光の反射のみを考えればよく、米国製のサファイア結晶から製作した鏡が要求性能を満たしました。一方、手前に設置する2基の鏡(インプットミラー)は入射するレーザー光や光検出器へと導くレーザー光がサファイア結晶中を通過します。このとき結晶中の屈折率が一様でないとレーザー光がゆらぎ、感度低下の一因となってしまいます。また、結晶中の屈折率が変化する部分では、光の吸収も大きいことがわかりました。一般にサファイア結晶はLIGOなどで用いられている合成石英と比べて屈折率の非一様性がひと桁ほど大きく、屈折率がなるべく一様で低吸収の結晶を開発することが3、4基目のサファイア鏡(インプットミラー)の成功の鍵となっていました。東京大学宇宙線研究所の廣瀬榮一特任助教の率いるKAGRAの鏡チームは日本国内の結晶メーカーと試行錯誤しながらなんとか要求値を満たすサファイア結晶を製作することに成功しました。さらに、わずかに残った屈折率の非一様性の影響を抑えるために鏡の厚さを場所によって変更を加えることで補正し、十分な性能のインプットミラーが完成しました。

今後の見通し

今回完成したサファイア鏡を今秋KAGRAの低温真空容器内に設置し、2019年内に最終構成での観測を開始できるよう調整を続けます。その先を見据え、鏡チームはサファイア鏡をさらに大型化することで低周波数域(100Hz以下)での感度を飛躍的に上昇することを検討しています。そのために、この春から前述の結晶メーカーと東京大学宇宙線研究所の間で100㎏クラスのサファイア結晶開発を目指した共同研究契約を結び、KAGRAのインプットミラー用結晶開発で得た経験とノウハウをベースにした研究開発を開始しました。

補足:KAGRA用サファイア鏡製作にかかわっている協力団体

株式会社信光社(インプットミラー用低吸収結晶、日本)
GTクリスタルシステムズ(エンドミラー用結晶、アメリカ)
AMETEK, ZYGO Extreme Precision Optics(研磨、アメリカ)
LMA(コーティング、フランス)
Coastline Optics(スペアエンドミラー製作、インプットミラー研磨の一部、アメリカ)
CSIRO(サファイアミラープロトタイプ製作、オーストラリア)
Caltech, the LIGO laboratory(サファイアミラー評価、アメリカ)
東京大学物性研究所工作室(サファイアミラー用ハンドリング冶具製作、日本)

謝辞

本研究にあたっては文部科学省、独立行政法人日本学術振興会最先端研究基盤事業、特別推進研究 26000005、新学術領域研究 2905:JP17H06358, JP17H06351およびJP17H06364、研究拠点形成事業(A.先端拠点形成型)、基盤研究(S)17H06133、東京大学宇宙線研究所共同利用研究プロジェクト、National Research Foundation (NRF) and Computing Infrastructure Project of KISTI-GSDC in Korea、the LIGO project、the Virgo projectの援助を得ました。

関連するニュース記事

– 日本経済新聞 – 重力波望遠鏡「かぐら」心臓部の鏡を公開 東大 リンク

– 産経ニュース – 重力波観測施設「かぐら」のサファイア鏡がすべて完成 来年秋に観測開始へ 東京大 リンク

– 日テレニュース24 – 重力波観測装置「KAGRA」主要部品公開 リンク

– NHK News Web – 「重力波」を観測する「KAGRA」の鏡が完成 リンク

 

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2018年4月11日

2018年3月30日、米国の重力波望遠鏡LIGO (ライゴ) Scientific Collaborationの前スポークスパーソン、ルイジアナ州立大学のGabriela González(ガブリエラ ゴンザレス)教授が、岐阜県飛騨市のKAGRA実験施設を訪問しました。

地下トンネル内のKAGRA実験施設では、2015年までルイジアナ州立大でLIGOの研究を行なっていた東京大学宇宙線研究所の苔山圭以子助教の案内で、入り口から3km先のトンネル先端での鏡のインストールの様子などKAGRAの本格観測へむけた準備状況を興味深く視察しました。

2019年に予定されているKAGRAの本格観測開始、LIGOや欧州のVirgoとの共同観測にむけて一層の研究交流、協力が深まることが期待されます。

かぐらの地下実験施設を訪問したルイジアナ州立大学のGabriela González教授(中)と案内をした宇宙線研究所の苔山圭以子助教(左)。かぐらのアームトンネル先端付近にて撮影。

かぐらのサファイア鏡を低温容器内に設置し、調整する様子を視察中。

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2018年3月12日

2018/3/12

大型低温重力波望遠鏡KAGRAの最重要な構成品のひとつ、サファイア鏡が、富山大学での部品のとりつけと強度試験を終え、岐阜県飛騨市のKAGRAの実験施設に到着しました。KAGRAの目標感度に到達するための高品質なサファイア鏡が施設内に運び込まれるのは今回が初めてです。

写真1 厳重に梱包されたサファイア鏡をKAGRAのうでの先端まで運ぶ様子

KAGRAは、3kmの長さのうでを2本持つレーザー干渉計です。先行する重力波望遠鏡のLIGO、VirgoにないKAGRAの大きな特徴として、「地下にある」ことと「冷やす」ことがあります。空間の小さな伸び縮みを観測する際、あらゆる「振動」が観測の障害となります。KAGRAでは、地下200mより深いところにトンネルを掘って設置することで地面の振動の影響を地表の約100分の1まで抑え、鏡とその防振システムをマイナス253度まで冷やすことで熱による振動の影響を小さくします。

LIGOやVirgoの鏡に使われている石英と比べ、サファイアは冷やすことで効率的に熱による振動を少なくでき、また低温状態を維持しやすい(熱伝導率が大きい)という性質を持っています。このため、KAGRAでは冷やして使うのに最適なサファイアを鏡の材料として採用しました。

KAGRAで使用する鏡は直径22cm、厚さ15cm、重さ23kg、単結晶の無色透明のサファイアでできています。L字型に直交する2つのうでの先端と根元の計4カ所に設置します。今回のサファイア鏡は片方(X方向)のうでの先端に設置します。残りの3台は2019年春までに設置する予定です。

写真2 防振装置に吊り下げるための「耳」の取り付け加工のため洗浄中のサファイア鏡。
表面の赤い色はほこり付着防止のために施された保護膜。(2018年2月 富山大学)

富山大学は、2013年にKAGRAの共同研究機関となりました。岐阜県飛騨市にあるKAGRAの最寄りの国立大学として、主にレーザー関連の研究開発に貢献しています。研究者や大学院生、学部生は富山大学五福キャンパスに設置したクリーンルームを活用して研究をすすめ、さらにKAGRAのある岐阜県飛騨市で装置の設置や調整にも参加しています。

2017年の春から、富山大学のクリーンルームを利用したKAGRAの重要な作業である、サファイアの鏡に同じくサファイアでできた「耳」と呼ばれる部品の取り付けを始めました。この部品は、やはりサファイアでできているファイバーで鏡を吊り下げる時の接続の手がかりとなるもので、KAGRAに運ぶ前に富山大学で取り付け加工を行います。これまでの約1年間にわたり、鏡と同じサイズのサファイアの塊に耳を取り付ける練習などを繰り返し、予備のサファイア鏡2台に取り付けを行ったのち今回初めて本番の鏡に取り付けました。2018年中に残り3台の鏡が運び込まれ、富山大学で耳のとりつけ加工を行います。

写真3 KAGRA実験施設内で坑内運搬用の電動三輪車にサファイア鏡を移し替える様子

3月8日、サファイア鏡の運搬に先立ち、富山大学のクリーンルーム内で耳の接合の強度試験中のサファイア鏡を報道各社に公開しました。そして3月9日、富山大学からおよそ40km南に位置する岐阜県飛騨市のKAGRA実験施設へと運搬しました。KAGRA施設内では、前日に続いて報道陣に見守られる中、地上運搬用のワゴン車から地下運搬用の電動三輪車へと慎重に移し替え、サファイア鏡を設置するうでの先端までの運搬を完了しました。

KAGRA実験では、今回公開したサファイア鏡を一方(X方向)の腕の先端に取り付け、すでにY方向の先端に取り付けられている予備の鏡と共に冷却し、今春中に鏡を冷却した運転を行います。
2018年中に残り3台のサファイア鏡を準備し、両方のうでの先端と根元に設置して調整、改良をすすめた上で、2019年中に最終的な構成での運転を開始、LIGO、Virgoとの共同観測をめざします。

KAGRAプロジェクト代表 梶田隆章教授のコメント

今回、重力波望遠鏡KAGRAは、その建設の中でも、特に困難でかつ世界に先駆けた挑戦である、サファイアを基材とする鏡の作成に成功し、KAGRAで必要とされる4枚のサファイアの鏡の最初の鏡がKAGRAに装着される段階にまで到達しました。

特に、KAGRAの協力大学である富山大学では、KAGRA内での鏡の装着に必要な最終工程が行われており、重要な貢献をしていただいています。KAGRAは、さらに残り3枚のサファイア鏡を装着し、調整をした後、アメリカのLIGOやヨーロッパのVirgo重力波望遠鏡との重力波共同観測を2019年中に開始することを目指し、さらに建設を加速させていく所存です。

KAGRAプロジェクト代表 東京大学宇宙線研究所長 梶田隆章

関連リンク

KAGRAのサファイア鏡が完成、低温運転へ

重力波をとらえる望遠鏡KAGRA 日本発の低温技術が世界のスタンダードに

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2018年3月2日

2018年3月2日

大型低温重力波望遠鏡「KAGRA」の本格運転を控え、東京大学宇宙線研究所は研究スペースを拡張するため、岐阜県飛騨市神岡町茂住地区の神岡町北部会館を改修しました。3月2日、重力波観測研究施設は多大な協力をいただいた茂住地区の皆様への内覧会を開催しました。

神岡町北部会館は1984年に閉校した神岡町立茂住小学校の跡地に茂住地域の公民館施設、保育園として建設されました。2012年、北部会館1階の一部を改修して大型低温重力波望遠鏡KAGRAの建設の拠点としました。その後2014年には常駐する研究者の増加にともない、北部会館のすぐ隣にデータ収集解析棟を建設しましたが、2018年以降のKAGRAの本格運転にあたり、さらに研究スペースが必要となっていました。今回、重力波観測研究施設は、地域の方々の集会などで使われていた2階部分を含めた北部会館全体の使用許可をいただき、研究室と会議室として改修しました。

地域の皆様、飛騨市の関係者など約50名が参加した内覧会では、梶田宇宙線研究所長のあいさつ(全文はこちら)に続き、都竹飛騨市長により地域の皆様への感謝と研究推進への期待の言葉が述べられ、大橋重力波観測研究施設長による工事とKAGRA研究の現況の説明が行われました。内覧会の後半は今回改修した部屋で改修箇所や以前のまま残した箇所などの説明が行われ、地域の皆様の北部会館での思い出話なども交わされました。

なお、今回の改修工事は東京大学基金の大型低温重力波望遠鏡(KAGRA)プロジェクトへの寄付に基づいて行われました。


改修が完了した神岡町北部会館(奥側)と、データ収集解析棟(手前)


挨拶を述べる梶田宇宙線研究所長


都竹飛騨市長によるご挨拶


⼤橋重⼒波観測研究施設⻑による⼯事とKAGRA研究の現況説明


地域の皆様と談笑する梶⽥所⻑


都⽵市⻑、梶⽥所⻑、⼤橋施設⻑を囲んで記念写真

梶⽥隆章宇宙線研究所⻑による始めの挨拶全⽂

本日は,北部会館改修工事完成内覧会にご参加いただきましてありがとうございます。

ただいま紹介いただきました,東京大学宇宙線研究所所長の梶田です。

皆さまご存知かと思いますが,この北部会館は昭和59年に閉校した茂住小学校の跡地に,地域の公民館施設,保育園として建設された施設です。

私共がこの施設を飛騨市様から初めてお借りして使用させていただいたのは,今から6年前の平成24年のことになります。現在池之山の地下に建設中の大型低温重力波望遠鏡KAGRAの建設を始めるにあたり東茂住地内での拠点となる施設を探していたところ北部会館を使用させていただけるというお話しがあり,1階部分を改修して使用させていただいたのが始まりです。

その後,KAGRAの建設が進むにつれて神岡に常駐して研究する研究者や学生等も次第に増えていったため,平成26年には北部会館の直ぐ隣にデータ収集解析棟を建てさせていただき,平成28年にはKAGRAの初期運転を行うことができました。その後現在はこの春の低温鏡を入れての運転を目指して日々地下や地上にて作業を進めていますが,神岡に来る研究者や学生がこれまで以上に増えているため,これらの建物だけでは手狭になってしまい大変困っておりました。

このような中で,昨年飛騨市様と連携協力に関する協定を締結することができました。これは,飛騨市様と東京大学宇宙線研究所が連携協力を進めることで,学術研究,人材の育成及び地域社会の発展に寄与することを目的としたものです。その中には,研究環境の整備に関する事項も含まれております。

そこで都竹飛騨市長様へ北部会館の2階部分を含めて全体を使用させていただけないかとご相談させていただいたところ,北部会館の機能を夢館に移動する改修を飛騨市様に実施していただくなど飛騨市様の多大なご協力並びに北部会館の利用について地域の皆さまのご理解をいただき,今日の北部会館改修工事の完成に至ることができました。

これはひとえに飛騨市様,地域の皆さまのご理解とご協力があってのものであると深く感謝いたします。なお、今回の改修工事は東京大学基金の大型低温重力波望遠鏡(KAGRA)プロジェクトへの皆さまからのご寄付に基づいて行いましたことを申し添えます。

この北部会館ではこれからのKAGRAを担う大勢の若い研究者や学生が日々研鑽する場所として使用させていただきます。

これからKAGRAでは平成31年中の本格観測を目指して教職員や学生みんなで精一杯事業を進めてまいります。ここ神岡の地から皆さまに新しい発見や嬉しい報告が出来るように努めてまいりますので,引き続きご支援ご協力を賜りますよう今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

平成30年3月2日
東京大学宇宙線研究所長 梶田隆章

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2018年2月8日

2018/2/8

岐阜県飛騨市で建設中の大型低温重力波望遠鏡KAGRA(かぐら)の主要な構成品である、4台のサファイア鏡のうち2台が2017年末に完成しました。 そのうちの1台をKAGRAに組み込み、今春中の低温運転を目指します。いよいよ、3kmというサイズの干渉計では世界初となる、低温鏡を使った運転が始まります。
(さらに…)

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2017年12月22日

高エネルギー加速器研究機構(KEK)ホームページのニュースハイライトとして、KEK 超伝導低温⼯学センターの都丸隆⾏准教授へのインタビューによるKAGRAの極低温技術についての記事が掲載されました。
記事へのリンクはこちら

2017年11月30日、1台目のサファイア鏡とその低温懸架装置の設置完了を祝うKAGRA共同研究者(Credit:KEK/ICRR)

 

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2017年10月17日

重力波物理学・天文学:創世記(代表:田中教授)より、今回のGW170817連星中性子星合体からの重力波検出に関する解説です。
リンクは、ここ です。

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2017年10月17日

GW170817と光学観測の成功についての梶田PIのコメントを発表しました。
コメントです

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2017年10月3日

詳細はこちら

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2017年3月31日

KAGRAの共同研究をされた、長岡技術科学大学情報経営システム工学科の植木聡史 君、佐々木幸次君の修士論文が、それぞれ最優秀修士論文賞、優秀ポスター発表賞に選出されました。おめでとうございます。

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2017年3月31日

東京大学大学院理学系研究科物理学専攻の榎本雄太郎君の修士論文が、理学系研究科研究奨励賞を受賞されました。おめでとうございます。

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2016年9月16日

10月29日、飛騨市で重力波に関する講演会が開催されます。奮ってご参加ください。
講演会情報

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2016年7月24日

7月24日日曜日に、飛騨市との共催でKAGRA見学会を開催しました。400人を超える方々に、KAGRAの建設状況を見ていただきました。

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2016年7月24日

7月23日土曜日に、KAGRAに対し高額寄付を頂いた方への感謝の一つとして、梶田隆章PIが、寄付者の方々をKAGRAにお招きし、作成された銘板及び、KAGRAを見学していただく会を開催いたしました。80人超の参加者をお迎えし、盛会となりました。

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2016年6月27日

KAGRA共同研究者である天文台の阿久津君のKAGRAのバッフルに使う黒色表面に関する論文が5月のSpotlight on Opticsの1つ(ハイライト論文)に選ばれました。

Opt. Mater. Express 6(5) 1613-1626 (2016)

https://www.osapublishing.org/spotlight/summary.cfm?id=339003
https://www.osapublishing.org/spotlight/

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2016年4月1日

平成28年4月1日より、重力波推進室を改組し、重力波観測研究施設として再スタートします。

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2016年3月25日

3月25日午前9時よりKAGRAの試験運転が開始されました。3月31日17時まで行い、その後4月11日から25日まで再度行う予定です。梶田計画代表のコメントを記します。
「基線長3kmという大規模なレーザー干渉計が動き始めたことで、ひと安心しました。今後は、本格的な低温重力波望遠鏡の構築を進め、一刻も早く国際的な重力波観測ネットワークに参加したいと思います。」

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2016年3月24日

KAGRAは、3月25日午前9時より試験運転の開始の予定です。装置としては、すでに、調整を重ねながらの予備運転は開始しています。

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2016年2月22日

2月12日のLIGOグループの重力波発見の報告に関連し、KAGRAグループでは、以下のような活動を行いました。
1)大阪市立大学での記者会見中継の実況と解説(神田先生、田越先生)(link
2)東京大学宇宙線研究所での梶田計画代表のコメント解説(link
3)東京大学ビッグバンセンターにおいてKipp Cannon先生による、重力内検出発表論文の解説講義(link
4)大阪市立大学におけるLIGO発表内容に関する報告会
5)東京大学大学院理学系研究科物理学専攻・安東先生による NHK番組「視点・論点」での解説(link
6)東大宇宙線研・三代木による、NHK番組「サイエンスゼロ」での解説(link1, link2

以上とは別ですが、2月12日、馳文部科学大臣の記者会見でも、今回の重力波発見に関するご発言がありました。(link

今後も、春の日本物理学会(東北学院大学)での特別講演(京都大学・田中先生)、一般相対性理論を専門とする全国の先生による解説記事の掲載などが計画されています。

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2016年2月12日

2015年2月11日のアメリカ東部時間の午前10時30分(日本時間12日午前0時30分)に、LIGOグループとVIRGOグループが2015年9月から2016年1月にかけて行った重力波の観測結果について記者会見を行いましたが、それを受けて、KAGRA計画代表である梶田隆章教授のコメントを以下に掲載いたします。

——- (Japanese) ——-
2016年2月12日

LIGO-Virgoの重力波発見に関するKAGRAグループからのコメント

我々KAGRAグループは、LIGO-Virgoが重力波信号を発見したことを心より祝福します。これは重力波および一般相対性理論の研究者が待ち望んでいた歴史的快挙です。

現在我々が建設中のKAGRAを含む第二世代の重力波望遠鏡(レーザー干渉計)によって、重力波そのものや、ブラックホールや中性子星という高密度星の研究が可能であることが実証されたという意味で、このニュースは本当にエキサイティングです。

我々は今後も引き続きKAGRAの建設を進めて完成させ、高い感度を実現して重力波国際観測ネットワークに一刻も早く参加し、重力波天文学という新たな学問分野に貢献していくつもりです。KAGRAは地下に設置されて低温ミラーを装着しているため100Hz 以下の帯域で感度が高く、その周波数帯にある重力波源の探査に適していますが、そこはまさに今回LIGOで観測されたブラックホール連星の合体イベントがたくさんあると予想されているところです。まず、KAGRAはそこを目指していきます。

もちろん、宇宙にはブラックホール連星合体の他にも、重力波を観測手段として研究すべき天体現象がたくさんあります。例えば、KAGRAでは、連星中性子星合体によるブラックホールの誕生を検出したいと考えています。それは、他の重力波望遠鏡やマルチメッセンジャー天文学のパートナーと連携して継続時間の短いガンマ線バースト源の謎を解明することにつながると考えています。ご期待ください。

梶田隆章
KAGRA計画代表

——- (English) ——-  
Feb. 12th, 2016

Message from KAGRA on the discovery of Gravitational Wave signal by LIGO-Virgo collaborations

We, the KAGRA collaboration, congratulate the LIGO and Virgo collaborations for the discovery of the gravitational wave signal. It is a historic discovery where the whole field of gravitational waves and general relativity have been waited for.

It is really exciting news, because it is now clear that the studies of gravitational waves and massive compact objects, such as black holes and neutron stars, can be made by the present generation gravitational wave detectors including KAGRA.

KAGRA would like to complete the construction, achieve the high sensitivity and join the international gravitational wave network as soon as possible so that KAGRA can contribute to the new field of gravitational wave astronomy. Because KAGRA is located underground and going to use cryogenic mirrors, KAGRA is particularly suited to study gravitational wave signals below about 100 Hz, where many signals of mergers of black hole binaries are expected, as observed by LIGO.

In addition to the merger of black hole binaries, there are many astronomical objects to be studied with gravitational waves. For example, KAGRA wants to detect a birth of a black hole created by a coalescence of binary neutron stars and resolve the mystery of short gamma ray bursts with the other gravitational wave detectors and with the partners of multi-messenger astronomy.

Takaaki Kajita,
for the KAGRA collaboration

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2016年1月13日

Scientific American にKAGRAの記事が掲載されました。

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2015年10月27日

大型低温重力波望遠鏡(KAGRA)の運転開始迫る!

人類初の「重力波」の観測を目指した、大型低温重力波望遠鏡KAGRAの観測開始がいよいよ迫ってきました!

KAGRAは、現在、岐阜県飛騨市神岡町にある旧神岡鉱山のある池ノ山の山麓に建設されている新しい時代の望遠鏡です。望遠鏡と言ったら、スバル望遠鏡や、ハッブル宇宙望遠鏡、多くの電波望遠鏡のように、山頂や宇宙空間のように、空気の影響を可能な限り避ける場所を選んで、宇宙から届く光や電波を受ける望遠鏡をご想像されると思います。でも、重力波望遠鏡は、「地下から宇宙を観測する望遠鏡」です。そんな、常識破りの望遠鏡でとらえようとしている「重力波」とはなんでしょうか?

重力波をとらえる意義

重力波は、かの有名なアルバートアインシュタイン博士が考え出した一般相対性理論を解くことによって、その存在が予言されている重力の波動現象です。その存在は、1979年に、ハルス博士とテイラー博士によって間接的には証明されました。しかし、まるで携帯電話で電波を受信するような感じで、その重力波が装置を使って直接的に検出されたことはいまだかつてありません。

人類は、誕生して以来、まずは光でこの世の中を理解し、特に、この200年の間には、光の仲間である、電波、赤外線、紫外線、X線、ガンマ線の存在を知ることにより、さらに、自然への理解を深め、応用することで、生活を豊かにしてきました。今、これに重力波が加わろうとしています。しかも、重力波は、光の仲間ではないので、光の仲間では見えない世界が見えるのではないかという期待がかけられています。宇宙誕生の瞬間、ブラックホールが誕生する瞬間もみえるようになるでしょう。

重力波はどうやってとらえる?

重力波が来ると、二つの離れた物体の距離が、重力波の周期で伸びたり縮んだりするようになります。重力波望遠鏡は、この伸縮をとらえる、いわば長さ計測装置です。しかし、その重力波による伸縮の効果は非常に小さく、たとえば、地球と太陽の距離(1億5千万キロメートル)が水素原子1個分(0.1 ナノメートル)動く程度でしかありません。それを地球上で行おうとすると、約3kmの長さの直線距離に対し、1兆分の1のさらに1億分の1メートルの変化をとらえる必要があります。しかし、世界の重力波望遠鏡は、KAGRAも含め、すでに、この3 ~ 10倍の大きさのものを検出できる能力をもつ技術を開発しており、その目標検出能力の達成をめざし、現在各国で望遠鏡を建設中です。

KAGRA重力波望遠鏡の目標検出感度を達成するための協力体制

重力波の信号が非常に小さいため、望遠鏡を揺り動かすありとあらゆる原因が雑音となりえます。特に大きく揺り動かすものが、地面の振動と、装置の熱振動です。KAGRAでは、その影響を十分に取り除くための戦略や技術開発を、東京大学宇宙線研究所が主導しながら、高エネルギー加速器研究機構や自然科学研究機構・国立天文台も主要な推進機関として行っています。

例えば、東大宇宙線研究所は、地面の振動を影響を避けるために、そもそも、その地面の振動が小さい場所をKAGRAの建設場所として選定しました。それが、旧神岡鉱山内の地下200メートル以深に新たに掘削した地下トンネル空間です。地面振動は、地表に比べて1/100以下と小さくなっており、特に1Hz以下の振動が小さいことが、重力波望遠鏡の安定的な運用に欠かすことのできない利点となっています。ちなみに、トンネルの総掘削量は、外部からのアクセス部、干渉計が設置されるアーム部を合計し、7700メートル余に達しましたが、1年10か月という短期間で完成されました。

ただ、このように地下に設置するだけでは、とらえたいと思っている重力波の周波数付近に地面振動の影響が多大に残っていますので、鏡をその振動からさらに防ぐ高性能な装置が必要になります。この鏡防振装置を主に開発しているのが国立天文台です。
*****

さらに、望遠鏡の心臓部である鏡が熱を持っていることが原因で起こる熱振動も重力波信号をかき消す原因になります。この熱振動を低減するための装置を開発してきたのが、高エネルギー加速器研究機構です。****

このように、重力波望遠鏡の感度性能を直接左右する部分の開発には、主要三機関が主導的にたずさわっていますが、その他にも、重力波望遠鏡を望遠鏡として運用するには、真空装置、レーザー装置、補助光学装置、望遠鏡制御装置、データ取得装置、データ解析手法など様々な部位の開発が必要で、それらは、国内外の多くの大学や研究機関の協力を得て推進されています。

重力波天文学の創生に向けて

重力波の初検出を目指して、世界の主要国がしのぎを削っています。アメリカは、腕の長さが4kmあるLIGO(ライゴ)という重力波望遠鏡を2台建設し、目標感度まであと3倍程度まで肉薄しています。ヨーロッパでは、主に、イタリア、フランス、オランダなどが協力し合いVIRGO(ヴァーゴ)という重力波望遠鏡を建設し、さらなる高性能化を進めています。ただ、重力波信号の検出を確信をもって世に宣言するには、1台だけでは心もとないので、KAGRAを含めた複数台の重力波望遠鏡のデータを持ち寄り、信号の信頼性を高めることは必須です。将来は、これらの重力波望遠鏡が観測ネットワークを構成し、重力波天文学を創生することを目指しています。

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2015年10月27日

東京大学宇宙線研究所、高エネルギー加速器研究機構並びに自然科学研究機構国立天文台では、3機関を共同ホスト機関とした協力体制のもと、国内外のさまざまな研究機関・大学の研究者と共同で、大型低温重力波望遠鏡・KAGRA(かぐら)の建設を進めてまいりました。

2014年3月には、そのKAGRAを格納する3キロメートルの腕を2本持つL字形トンネルの掘削が完了いたしました(注)。その後レーザー光源や真空ダクト、真空容器(クライオスタット)といった装置の開発と設置を進め、このたび重力波の観測に必要な第一期実験施設がほぼ完成しました。今回の第一期実験施設の完成を経て、2015年度中に重力波の試験観測を行い、第二期実験施設の完成に達する2017年度には重力波の本格観測開始により、世界初の重力波直接観測、重力波天文学の創出を目指しています。

このたび、この大型低温重力波望遠鏡KAGRAの第一期実験施設が完成したことを報道関係者の皆様にご報告し、その実験施設を見学していただく会を開催することになりました。プレスの方のみですが、ふるってご参加ください。プレス関係の方々には、各機関広報室よりご案内を入れさせていただいておりますので、日時等の詳細は、そちらをご参照ください。

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2015年10月21日

道村唯太さん が「光リング共振器を用いたローレンツ不変性の検証」の研究で、第10回 日本物理学会 若手奨励賞 (宇宙線・宇宙物理領域) を受賞されました。

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2015年10月6日

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2015年10月2日

多摩六都館で、「アインシュタインの宿題に挑む~重力波の検出への期待~」のレクチャーが開催されます。
奮ってご参加ください。登録ページはここです。

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2015年8月3日

医師のためのLife Style Magagine 「Precio」Vol.52で重力波とKAGRAの研究紹介を三代木が行いました。

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2015年8月3日

4月から開講している放送大学の「宇宙と進化(’15)」の講座の第三回「電磁波以外の手段による宇宙の観測」の回で、重力波とKAGRAが紹介されました。三代木が解説を行いました。

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2015年8月3日

8月19日20日に、柏キャンパスにおいて千葉県主催の夢チャレンジ体験スクール「キャリア教育科学・先端技術体験キャンプで苔山さんが講師となり、重力波研究の体験をしていただきます。

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2015年8月3日

11月14日に、猪谷関所館での「歴史と文化講演会」の中でKAGRAの紹介をします。ふるってご参加ください。講師は三代木を予定しています。詳細はHPに掲載予定です。

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2015年8月3日

一般相対性理論誕生100年記念市民講演会が各地で開催されます。ふるってご参加ください。
関連サイト

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2015年8月1日

毎日新聞社の7月30日朝刊に、東京大学大学院理学系研究科・安東さんが解説するKAGRAが紹介されました。

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2015年7月9日

東京大学基金第9回総長主催パーティーにおいて、三代木がKAGRA計画の紹介を行い、多くの東京大学への寄付者の皆様に、KAGRA計画について関心を抱いていただきました。

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2015年7月3日

黒田先生の万有引力に関する記事が、雑誌「パリティ」7月号に掲載されました。

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2015年6月24日

最先端物理学研究がおこなわれている飛騨市「KAMIOKA」で「飛騨サイエンスカフェ」と「大型低温重力波望遠鏡KAGRA見学会」を開催します。

KAGRAの見学会では、もうすぐ試験観測を始める実験装置が間近でご覧いただけます。ご応募をお待ちしています。

★ ★ 飛騨サイエンスカフェ募集要項 ★ ★
開催日 7月31日(金)
時間 19時~(18:30開場)(2時間程度を予定)
場所 神岡町公民館3階大会議室(岐阜県飛騨市神岡町東町378番地)
参加費 無料
講師
 尾関章(科学ジャーナリスト、北海道大学客員教授)
 大橋正健(東京大学宇宙線研究所重力波推進室長、教授)
 宮川治(東京大学宇宙線研究所重力波推進室、助教)
 苔山圭以子(東京大学宇宙線研究所重力波推進室、特任助教)
定員 50名
対象者 中学生以上であれば、どなたでもご参加いただけます。
応募方法
 参加申込書に必要事項を明記の上、飛騨市役所企画課へ「郵送」「窓口提出」「FAX」または、各振興事務所へ「窓口提出」ください。メールでの申し込みも可能ですが、参加申込書の記載項目をすべて記載の上、kikaku◎city.hida.gifu.jp(◎を@に変換ください) へ送信してください。(フリーメール(yahoo、gmail、hotmail等)からの申込みは、市のセキュリティ対策により、受信できませんのでご了承ください。)
 ※応募者多数の場合は抽選とし、抽選結果を後日郵送(7/22頃発送予定)します。
応募締切 平成27年7月16日(木)17時必着
持ち物 筆記用具、飲み物(各自ご持参ください)

★ ★ KAGRA見学会の募集要項 ★ ★
開催日 8月1日(土)
集合時間
 第1便  8:00(終了予定は10:40)
 第2便  9:10(終了予定は11:50)
 第3便 12:40(終了予定は15:20)
 第4便 13:50(終了予定は16:30)
 ※ご希望の便を第2希望までご記入いただけます。
集合場所 神岡振興事務所駐車場(岐阜県飛騨市神岡町東町378)
(※集合場所から見学会場までバスで送迎します)
定員 400名(各便100名)
参加費 無料
対象者 小学生以上。但し小学生は保護者同伴でご参加下さい。幼児はご参加いただけません。
応募方法 参加申込書に必要事項を明記の上、飛騨市役所企画課へ「郵送」「窓口提出」「FAX」または、各振興事務所へ「窓口提出」ください。メールでの申し込みも可能ですが申込書の項目をすべて記載の上、kikaku◎city.hida.gifu.jp (◎を@に変換ください)へ送信してください。
(メールの場合はタイトルに「KAGRA見学会」と記入し送信して下さい)
(フリーメール(yahoo、gmail、hotmail等)からの申込みは、市のセキュリティ対策により、受信できませんのでご了承ください。)
 ※応募者多数の場合は抽選とし、抽選結果を後日郵送(7/22頃発送予定)します。
 ※主催者負担で傷害保険に加入いたします。
応募締切 平成27年7月16日(木)17時必着
留意事項
 ※KAGRA坑内は平均気温が14度程度になります。
 安全のためにも、長袖(羽織れるもの等)、長ズボンでご参加ください。
 ※懐中電灯をご持参ください。
 ※見学会ではKAGRA坑内を徒歩で進みます。入口から出口までの徒歩移動距離は1.5km程度になります。
 ※KAGRA坑内は滑りやすい箇所もあります。歩きやすいシューズ等でご参加ください。
 ※建設中の研究施設のため、危険を伴う場所であることを十分認識していただくとともに、必ずスタッフの指示に従ってください。

募集要項や申込書はこちらをご覧ください。

●主催 東京大学宇宙線研究所 ・ 宇宙まるごと創生塾飛騨アカデミー ・ 飛騨市

【お問い合わせ先】
飛騨市役所 企画課
〒509-4292 岐阜県飛騨市古川町本町2番22号
電話 0577-73-6558
ファックス 0577-73-0071
e-mail : kikaku◎city.hida.gifu.jp(◎を@に変換ください)

Link:
飛騨サイエンスカフェ・KAGRA見学会参加者募集!

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2015年6月19日

小野君が、国際会議GWPAW2015でのポスター発表でポスター賞第一位に選ばれました!

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2015年5月26日

入射光学系、モードクリーナー、ビームスプリッター部、両エンドクライオスタット用のクリーンブースの設置が完了しました。これから、順次運転していく予定です。

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2015年5月26日

両腕3kmの真空ダクトの設置と締結が完了し、真空漏れの無いことも確認されました。

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2015年5月26日

鏡冷却用クライオスタット4台の設置が完了しました。現在、真空の漏れが無いかの検査を行っています。

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2015年5月26日

国立天文台チームが開発していました、KAGRA用の鏡防振装置の一つの動作確認が確認できました。

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2015年4月18日

4月18日にアミュゼ柏で開催された「第12 回 東京大学宇宙線研究所・カブリ数物連携宇宙研究機構 合同一般講演会」で三代木が重力波の解説を行いました。

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2015年4月8日

KAGRAの共同研究者:宗宮君が文部科学省の若手科学者賞を受賞しました。

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2015年1月31日

ヨーロッパの重力波物理研究プログラムであるELITES会議がヨーロッパからの研究者多数、KAGRAの研究者多数が参加し、そして、SSHの高校生も招かれ、ユーロハウスで、2月9日~10日に開催されます。

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2014年12月31日

日産社のEV BlogにKAGRAで導入した電気自動車・e-nv200が紹介されました。

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2014年12月28日

KAGRAが中京TV40周年記念番組「世界最先端科学の街」で紹介されました。名古屋大学教授・杉山先生、林修先生、黒田有彩さんをお相手に、三代木がKAGRAを解説いたしました。

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2014年11月16日

KAGRAがNHK番組コズミックフロント(9月25日)サイエンスゼロ(11月16日)に紹介されました。コズミックフロントでは、藤本先生、大橋さん、柴田さん、サイエンスゼロでは、梶田先生が出演いたしました。

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2014年11月7日

KEKグループが、クライオスタット1号機の搬入動画を公開しました。
リンクは下記になります。

トピックス記事

動画(KEK channel)

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2014年9月4日

KAGRAのトンネル完成と、総長をお迎えしての見学会の記事が東大広報誌に掲載
されました。
広報誌は以下にあります。
http://www.u-tokyo.ac.jp/gen03/kouhou/1457/pdf/1457.pdf

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2014年7月5日

総長と多くの来賓の方を招き、トンネル見学会と記者会見が開催されました。
その様子は、多くの報道機関に紹介されました。
NHK news
朝日新聞
読売新聞
時事通信

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2014年6月27日

飛騨市と共同で神岡サイエンスカフェを開催することにしました。日時、場所は以下のとおりです。

日時:2014年7月25日(金)19時から
場所:飛騨市神岡振興事務所 旧議事堂
講師:尾関章(北海道大学客員教授、科学ジャーナリスト)
    神岡分室より、大橋正健と宮川治が参加します。

ポスターはここです

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2014年6月13日

2014年4月24日に、科研費特別推進研究「極低温干渉計で挑む重力波の初観測」 (研究代表者:梶田隆章)が採択されました。

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2014年5月20日

KAGRAに土佐和紙の技術が使用されていることに関する新聞記事が掲載されました。
リンクは以下です。
http://www.kochinews.co.jp/?nwSrl=320050&nwIW=1&nwVt=knd

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2014年5月16日

2014年6月4日に、飛騨市と飛騨市教育委員会主催による、「2つの異なる分野が出会った時、新たな世界が広がる」の講演会が開催され、神岡分室の大橋さんが講演します。
詳しくはpdfファイルをご覧ください。

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2014年3月31日

世界初の重力波直接観測を目指す大型低温重力波望遠鏡KAGRAのトンネル掘削が完了

1.発表者:
梶田 隆章(東京大学宇宙線研究所 所長・教授)
大橋 正健(東京大学宇宙線研究所 准教授、注1)
内山 隆(東京大学宇宙線研究所 助教)

2.発表のポイント: 
 ◆大型低温重力波望遠鏡・KAGRA(かぐら、注2)を格納する3キロメートルの腕を2本持つL字形トンネルの掘削が完了しました。
 ◆KAGRAは、世界で唯一、低地面振動環境である地下に建設されるキロメートルスケールの重力波望遠鏡であり、地下トンネルはKAGRAの感度性能を向上させる重要な構成要素です。
 ◆今後、実験施設の整備、実験装置の構築を経て、2015年末には重力波試験観測、2017年度には重力波の観測開始により、世界初の重力波直接観測、重力波天文学の創出を目指します。

3.発表概要: 
 東京大学宇宙線研究所が中心的な推進機関となり、アインシュタインの一般相対性理論により存在が予測されている重力波の世界で初めての直接的検出を目指した、大型低温重力波望遠鏡・KAGRA(かぐら)(以下KAGRA)の建設を、2010年より岐阜県飛騨市神岡町池ノ山の地下において進めてまいりました。このたび、2014年3月末をもって、そのKAGRAを格納する地下トンネルの掘削が完了しました。重力波望遠鏡の設置場所として地下環境が選定されたのは、世界でKAGRAが初めてです。地下が好環境である理由は、極めて微弱な重力波の信号を捕えるKAGRAにとって、信号を掻き消す雑音となりうる地面の振動が、地表に比べて100分の1程度と小さいためです(図1)。KAGRA本体を格納するトンネル部は、地表より200メートル以深の地下に掘削され、片腕3キロメートルを2本持つL字構造をしており、両腕部合計6kmには0.3%の傾斜がつけられています。このKAGRA本体トンネルの他、本体への誘導トンネルも含め、総延長7,697メートルのトンネルが掘削されました。今後は、実験設備の整備、装置の構築を経て、2015年末に最初の試験観測運転を行い、2017年度には、重力波観測運転を開始する予定です。

4.発表内容: 
 大型低温重力波望遠鏡・KAGRA(かぐら)は、東京大学宇宙線研究所が中心的な推進機関となり、高エネルギー加速器研究機構および、自然科学研究機構・国立天文台を主たる共同推進機関とし、国内28機関155人、国外3機関76人の共同研究者が参画する研究プロジェクトです。重力波は、時空の歪みが波動となって伝搬する現象で、アインシュタインの一般相対性理論がその存在を予測しています。重力波の存在は、ラッセル・ハルス博士とジョゼフ・テイラー博士により初めて間接的に証拠づけられました。1974年に両博士により発見された連星中性子星(注3)の公転周期の観測減少値が、連星系からの重力波の放出を仮定した場合の公転周期の計算減少値と高い精度で一致したことにより、中性子星の加速運動による重力波放射が裏付けられました。最近では、BICEP2実験(注4)により、インフレーション時に発生したと予測される原始重力波の痕跡が宇宙マイクロ波背景放射に残っていることが報告され、もしこれが確認されれば新たな重力波の存在の証拠となります。しかし、重力波はその波形がわかる形で直接的にとらえられたことはありません。重力波を直接的にとらえることは、重力と時空の動的な関係の検証にとどまらず、強い重力場における物理現象の観測と解明、電磁波では直接観測することのできないブラックホールの直接観測を可能にするという意味で、非常に重要なテーマです。
 重力波が到来すると、二点間の距離がほんのわずかに伸縮するため、重力波望遠鏡ではこの長さの変化をとらえます。言い換えれば、重力波望遠鏡は、「長さ計測装置」ともいえます。しかし、強力な重力場を発生させる連星中性子星の合体、ブラックホール連星の合体などによって発生する重力波でさえ、典型的には、地球と太陽の間の距離を水素原子1個分変化させる程度のものでしかありません。しかも、そのような天体現象は、銀河系では10万年に一度程度しか発生しません。よって、重力波望遠鏡で、1年に数回の割合で重力波をとらえるには、より多くの銀河を観測する必要があり、超高精密度長さ計測装置である必要があります。しかし、重力波望遠鏡を振動させる原因は数多く存在します。それらを全て排除し、理想的には、光の量子雑音(注5)のみで制限される極限性能を得る必要があります。中でも、望遠鏡を地球上に設置する限り逃れられない「地面振動」と、装置が熱を持つことに起因する「熱雑音」は特に注意して除くべき雑音源です。これら雑音を低減させるために、KAGRAでは、そもそも地面振動が少ない地下環境に望遠鏡を設置し、地面振動の影響を少しでも逃れ、かつ、実験装置の心臓部を絶対温度で20ケルビン(摂氏マイナス253度)までに冷却し、熱雑音を低減するという工夫を取り入れています。今回の発表は、前者、地面振動を逃れる場所として選定した、岐阜県飛騨市神岡町の池ノ山(旧神岡鉱山)において、地下環境を整えるためのKAGRA用トンネルの掘削が完了したことをご報告するものです(図2)。池ノ山は、飛騨片麻岩という非常に硬い岩質を含む山であることも選定理由の一つです。
 KAGRAの建設は、2010年より開始しました。KAGRA本体を格納するトンネル部は、地表より200メートル以深の地下に位置し、片腕3キロメートルの2本の腕を持つL字構造をしており(図2)、両腕部合計6kmには地下の湧き水を流すため0.3%の傾斜がつけられています。この本体用トンネルのみならず、そこに到達するための誘導トンネルも掘削する必要がありました。
 トンネルの掘削は、鹿島建設株式会社によって行われ、2012年5月より、茂住地区から誘導トンネルの掘削が、同年6月より跡津地区の誘導トンネルの掘削が始まりました。その後、跡津側では、中央実験室部の掘削を経て、東北東にのびるXアーム、北北西にのびるYアームの掘削班にわかれて進行しました(図3)。一方、茂住側は、Yアームトンネルの掘削を池の山断層付近(茂住側エンドステーションより1,165メートルの地点)まで進んだ後、断層での大量異常出水を避けるため、一旦茂住側からの掘削は終了させ、跡津側からの掘削が到達するまでの間、断層付近の水抜きを行いました。そして、2013年12月に、Yアームにおいて跡津側からの掘削により貫通し、まずYアームが先にできました(図4、図5)。一方Xアームは、跡津側からの一方向の掘進であったため、進行速度に限界がありましたが、2014年3月末に全ての掘削が完了しました。最終的に、掘削総延長距離は7,697メートルに達しました。実際に掘削してみると、岩質はおおむね良好ではありましたが、場所によっては大量の湧水の発生で掘進が阻まれることが多々発生しました。にもかかわらず、本トンネル工事において鹿島建設株式会社は、NATM工法における月間掘進距離359メートルの国内最高記録を達成し、その高い技術により、大きな事故もなくトンネル掘削を終えました。
 今後は、実験設備の整備、装置の構築を経て、2015年末の最初の試験観測運転を行い、2017年度に重力波観測運転を開始する予定です。

5.問い合わせ先: 
(KAGRAについて)
東京大学宇宙線研究所准教授・KAGRA広報担当 三代木 伸二 
TEL: 080-6796-3536
Email: miyoki@icrr.u-tokyo.ac.jp

(宇宙線研究所について)
東京大学宇宙線研究所広報担当特任専門職員 林田 美里
TEL: 04-7136-5148
Email: misato@icrr.u-tokyo.ac.jp

6.注釈: 
(注1)2014年4月1日より東京大学宇宙線研究所教授。
(注2)KAGRA計画は、2010年6月に文部科学省の最先端研究基盤事業の一つに採択されて計画が開始。
(注3)連星中性子星:2つの中性子星が互いを軌道運動している天体。
(注4)BICEP2実験(Background Imaging of Cosmic Extragalactic Polarization):南極点付近で原始重力波に起因する宇宙マイクロ波背景放射の偏光を探査する望遠鏡。
(注5)光の量子雑音:重力波望遠鏡は高強度のレーザー光を使用する干渉計であるが、その干渉計において、レーザー光中の光子数の統計的な揺らぎが起因となって現れる雑音のこと。

7.添付資料: 
★カラー画像はこちらでダウンロードいただけます。
(zipファイル)
http://www.icrr.u-tokyo.ac.jp/public_relation/press_release/2014/20140331kagra/kagra.zip

8.関連発表
本ご報告は、東京大学の「研究成果発表一覧」ページ、及び、共同推進機関である、高エネルギー加速器研究機構、自然科学研究機構・国立天文台の所定ページにも掲載されています。
  東京大学:http://www.u-tokyo.ac.jp/public/public01_02_j.html
  高エネルギー加速器研究機構:http://www.kek.jp/ja/NewsRoom/Release/20140331150000/
  自然科学研究機構・国立天文台:http://tamago.mtk.nao.ac.jp/spacetime/KAGRA_tunnel_j.html

図1.柏キャンパスの地面振動(赤)と池ノ山の山頂から1,000メートル以深にあるCLIO実験室の地面振動(緑)との比較。200メートル以深で1,000メートルとほぼ同等の振動レベルが得られる。

図2.大型低温重力波望遠鏡KAGRAの全体像。それぞれ長さ3キロメートルの2本の腕を持つL字型構造をしたレーザー干渉計。

図3. 2012年12月時点でのL字型分岐点におけるパノラマ。

図4.跡津方面から茂住方面へのびるYアームの貫通発破の瞬間。茂住側エンドステーションより1,165メートルの地点で発破。

図5. 直線にのびるYアーム。

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2014年3月19日

カリフォルニア工科大学を中心とするBICEP2の実験により、宇宙背景放射のデータの中から、宇宙がインフレーションの時に発生した重力波の痕跡を発見しました。
これは重力波の存在を示す間接的証拠ですが、宇宙誕生の時の姿を伝える新たな観測事実でデータであるとともに、現在解明されていない量子力学と相対性理論の統一が、確かに宇宙誕生時には存在したことを示す大発見といえます。
それに関し、直接的に重力波を観測する事を目的とするKAGRA計画も新聞記事に紹介されました。

中日新聞より抜粋
北日本新聞より抜粋

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2014年3月5日

重力波検出の将来技術に関して議論を行う国際会議、GWADW2014が5月25日から31日の間、飛騨高山で開催されます。
HPはここです。

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2014年1月27日

日経サイエンスの2014年3月号にKAGRAの紹介記事が掲載されました。
http://www.nikkei-science.net/modules/flash/index.php?id=201403_029

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2014年1月8日

2014年1月8日の中日新聞夕刊1面にKAGRAの紹介記事が掲載されました。
(中日新聞より抜粋)

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2013年12月5日

2012年5月より、茂住地区と跡津地区の両方から掘削していた、KAGRAの2本の腕トンネルのうちのYアームが貫通し、1本のトンネルとなりました。

貫通地点ダイナマイト点火の瞬間

貫通地点ダイナマイト点火の瞬間の映像
Moment of the blasting 1
Moment of the blasting 2

爆破後の渡り初め

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2013年11月25日

東京工業大学の宗宮さんが執筆した以下のKAGRAの論文がCQGのハイライトオブザイヤーの1つに選ばれました。
http://iopscience.iop.org/0264-9381/29/12/124007

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2013年11月11日

2012年5月より開始されたKAGRAトンネルの掘削ですが、いよいよKAGRA Yアームトンネル貫通まで100メートル余りとなり、現場の緊張感も高まっています。

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2013年11月10日

2013年11月23日、富山市大沢野生涯学習センターにおいて、2013風のまち生涯学習フェスティバル特別講演として、宮川君が、 「アインシュタインの予言『重力波』の奏でる宇宙の音楽」のタイトルで講演します。

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2013年11月8日

11月8日 茂住地区の住民の方と、重力波推進室神岡分室の間で、地元交流会が開かれました。

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2013年10月17日

ハノイ教育大学物理学科とKAGRAでKAGRAの研究協力についてMOUを締結いたしました。

文書は、
http://gwdoc.icrr.u-tokyo.ac.jp/DocDB/0019/P1301917/001/MOU%20final%20signed%20131011.pdf
です。

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2013年10月15日

東京工業大学の宗宮准教授が挑戦的研究賞を受賞されました。
東京工業大学 研究戦略室

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2013年9月29日

朝日新聞の9月27日夕刊にKAGRAの記事が掲載されました。
(朝日新聞紙面より抜粋)

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