2025/11/13

GWTC-4.0カタログ論文

O4a期間の重力波信号のまとめ

2025年8月25日、LIGO-Virgo-KAGRAコラボレーションは、LIGO, Virgo, KAGRAによる第4期観測運転期間の最初の約8ヶ月間(O4a:2023年5月24日〜2024年1月16日)に得られた重力波信号を含めて、これまでに検出された全ての重力波信号をまとめたカタログ「GWTC-4.0」を発表しました(論文[1][2][3])。

GWTC-4.0カタログでは新たに128件のコンパクト連星合体重力波候補が追加されました。これらのほとんどは連星ブラックホールですが、中性子星-ブラックホール連星 (GW230518_125908とGW230529_181500)も含まれていると推定されています。

今回のカタログでは、連星を形成する各ブラックホールの質量が5.79太陽質量(GW230627_015337)から137太陽質量(GW231123_135430)まで分布しており、後者はこれまでで最も重い連星合体の可能性があります。また、GW230814_230901とGW231226_101520では、信号雑音比(SNR)が30を超える検出が達成され、波形解析や天体物理的研究に重要な高品質な信号データとなっています。

過去のイベントと今回のイベントを合わせると、カタログ全体の重力波イベント数は218件となりました。

また論文[4]では、GWTC-4.0カタログに基づき、連星ブラックホール、連星中性子星、中性子星-ブラックホール連星合体イベントの統計的解析が行われました。

ここでは、観測された重力波イベントを用いて、各種連星の合体率(宇宙の単位体積あたりの年間発生数)を推定するとともに、それらの質量・スピン・質量比などの分布を求めています。特にBBHについては、質量分布に複数のピークが存在することが示され、形成過程が1つではなく複数あることが示唆されます。また、赤方偏移の違いによる合体率の変化も評価されています。

論文[5]では、GWTC-4.0カタログに収録された218件の重力波イベントのうち、142件を用いて宇宙論的パラメータの推定が行われました(arXiv:2509.04348)。特に、ハッブル定数と、一般相対論からのずれを示す重力波伝播の修正モデルに焦点を当てています。

重力波源の光度距離と赤方偏移質量は直接測定されますが、赤方偏移そのものは2つの統計的手法により推定されました。

1つ目は、コンパクト天体の質量分布や合体率の進化に見られる特徴から赤方偏移を推定する方法です。

2つ目は、重力波源の到来方向推定領域内にある母銀河候補リストから赤方偏移を推定する方法です。

これらの情報を組み合わせることで、ハッブル定数として76.6+13.0-9.5 km/s/Mpcが得られました。更に、GW170817の電磁波対応観測の結果と合わせることで、より厳しい制限が可能です。

より詳細は下記のLVKコラボレーションによる解説などをご覧下さい。

論文
[1] GWTC-4.0 導入: https://arxiv.org/abs/2508.18080
[2] GWTC-4.0 方法: https://arxiv.org/abs/2508.18081
[3] GWTC-4.0 結果: https://arxiv.org/abs/2508.18082
[4] GWTC-4.0 合体率と分布: https://arxiv.org/abs/2508.18083
[5] GWTC-4.0 宇宙論: https://arxiv.org/abs/2509.04348

サイエンス解説
日本語
GWTC-4.0カタログ: https://ligo.org/wp-content/uploads/2025/08/O4a_catalog_omnibus_Japanese.pdf
GWTC-4.0 合体率と分布: https://ligo.org/wp-content/uploads/2025/08/O4a_Astro_Distrib_Japanese.pdf
GWTC-4.0 宇宙論: https://ligo.org/wp-content/uploads/2025/09/O4a_Cosmology_Japanese.pdf

その他の言語: https://ligo.org/science-summaries/

LIGOによる発表ページ(英語)
GWTC-4.0カタログ: https://ligo.org/science-summaries/O4a_catalog_omnibus/
GWTC-4.0 合体率と分布: https://ligo.org/science-summaries/O4a_Astro_Distrib/
GWTC-4.0 宇宙論: https://ligo.org/science-summaries/O4a_Cosmology/