2025/11/13
GW230814:宇宙からの非常に強い重力波これまでで最大の連星ブラックホール合体
2023年8月14日、LIGO-Virgo-KAGRAコラボレーションは、非常に強い重力波信号GW230814を検出しました。これは、アメリカ・ルイジアナ州にある LIGOリビングストン観測所で観測されたもので、観測時点ではこの1台の検出器のみが稼働していました。
どんな現象だったの?
GW230814は、2つのブラックホールが合体したときに発生した重力波と考えられています。それぞれのブラックホールの質量は、太陽の約34倍と28倍。これは、2015年に初めて検出された重力波(GW150914)と非常によく似た組み合わせです。
この合体は、地球から約10億光年(約290Mpc)離れた場所で起きたと推定されています。
何が特徴的なの?
重力波の強さは、信号対雑音比(SNR)という指標で表されます。GW230814のSNRは約42で、これは過去の多くのイベントと比べても非常に高く、GWTC-4.0カタログの中で最も強い信号です。
何がわかったの?
この強い信号のおかげで、研究者たちは重力波の波形を詳しく分析することができました。特に、合体前の段階(インスパイラル)で、これまで検出が難しかった、波形の高調波成分も確認されました。
また、波形の一部に一般相対性理論と少し異なるように見える部分もありましたが、これは観測装置の雑音などによる可能性が高く、一般相対性理論からのずれを示すものではないと考えられています。
1台だけで観測されたの?
通常、複数の検出器で同時に観測されると、重力波の発生場所を天球上のどこかまで特定できます。しかし、GW230814は1台だけでの観測だったため、発生方向の特定は困難でした。それでも、非常に強い信号だったため、波形解析や理論検証には非常に貴重なデータとなりました。
このような重力波信号は、宇宙の成り立ちやブラックホールの性質を理解するための重要な手がかりとなります。今後もLIGO、Virgo、KAGRAによって、さらに多くの宇宙の秘密が明らかになることでしょう。
論文
https://arxiv.org/abs/2509.07348
サイエンス解説
日本語 https://ligo.org/wp-content/uploads/2025/09/GW230814_Japanese.pdf
その他の言語: https://ligo.org/science-summaries/
LIGOによる発表ページ(英語)
https://ligo.org/science-summaries/GW230814/