2025/11/13
GW241011とGW241110
2つの連星ブラックホール合体からの重力波が連星の形成と進化に新たな光を当てた!
2025年10月28日、LIGO-Virgo-KAGRA(LVK)コラボレーションは、連星ブラックホール合体からの重力波GW241011とGW241110を観測したと発表しました。観測されたのはそれぞれ2024年10月11日と11月10日です。これらの重力波イベントは、名前だけでなく、似た性質を持つ連星ブラックホール合体が起源でした。どちらの連星においても重い方のブラックホールは高速で自転しており、連星を構成する2つのブラックホールの質量は大きく異なっています。これらの特性は、連星ブラックホールの形成や進化、基礎物理学の理解の進歩をもたらしました。
連星ブラックホールの形成と進化の謎に迫る
- GW241011とGW241110のそれぞれの波源の重い方のブラックホールは高速で自転していると推定されました。それらの自転軸の方向は連星の軌道面の軸方向に対して傾いており、それらの質量は連星パートナーの軽い方のブラックホールの2倍程度も重いと推定されました。
これらの手がかりを自然に説明できるシナリオは、どちらの系も、波源の重い方のブラックホールはブラックホール同士の合体によって形成されたというシナリオです。つまり、第二世代のブラックホールであるかもしれません。そのような階層的な合体シナリオは、星団のような天体が密集した環境で形成されると考えられています。
基礎物理学にとってのインパクト
- GW241011の波源の重い方のブラックホールが高速で自転していることは、アインシュタインの一般相対論の予測のひとつを検証することに役立ちました。GW241011は、自転によって励起される四重極モーメントについて一般相対論の予測を前例のない精度で検証することを可能にしました。
GW241011とGW241110の観測は、重力波の波源天体の形成の理解を進歩させました。さらに、基礎物理学の理解にとっても大きなインパクトを与えました。今後も重力波天文学は進展し、宇宙の理解が進むことが期待されます。
より詳細は下記のLVKコラボレーションによる解説などをご覧下さい。
サイエンス解説
日本語: https://ligo.org/wp-content/uploads/2025/10/GW241011-GW241110_Japanese.pdf
英語: https://ligo.org/wp-content/uploads/2025/11/GW241011-GW241110.pdf
その他の言語: https://ligo.org/science-summaries/
LIGOによる発表ページ:
https://ligo.org/pair-of-distinct-black-hole-mergers-sheds-new-light-on-nature-of-their-formation-and-evolution/
https://ligo.org/detections/gw241011-gw241110/
論文(arXiv): https://arxiv.org/abs/2510.26931
LVKコラボレーションによるプレスリリース(英文) https://ligo.org/wp-content/uploads/2025/10/Press-release-for-GW241011-GW241110.pdf